鑑賞記録:「あの頃ペニーレインと」

昔観た映画を時間が経ってから観ると
以前とは違った感想を持つことがある。
初めて観た時は、ただのちょっと切ない
ボーイミーツガールものと思っていた。
今回改めて観ると、この映画は誠実さ
honestであることを描いているように思えた。
全員がいいやつなのだ。

冗長になるけど最初から見ていこう。
映画の始まりは1969年のサンディエゴ。
主人公ウィリアムの母は大学教授。
家ではカツレツも大豆で作り、
バターも砂糖も白い小麦粉もベーコンも卵も駄目。
12月は商業的だからとクリスマスは9月に祝う。
サイモン&ガーファンクルももちろん駄目。
厳格な母であれば子供にも無理解だと思いきや、
この母親が意外と良い母親なのだ。
自分に反発していた娘が家を出ていくとき、
ヒステリックになって押さえつけたりしない。
18の旅立ちとハグして強がりつつ見送る。
話が前後するが、主人公が取材でコンサートに
行く時も車で送ったりもしている。
法律家の道を望んでいるなら止めそうなのに、
約束を守れば後は自由にさせてくれるようだ。
思春期の息子には、ちょっと過保護で恥ずかしい
だろうけど息子の事を信じて大事に思う母親。

主人公の姉も弟思い。
ベッドの下に隠していたロックのレコードの存在を
家を出るときに教えて、やがてそれがきっかけで
主人公はロックのライターの道に進む。
少しネタバレになるけど、
終盤に再登場するあたりでも
弟を助けてくれる良い姉。

次にCREEMの編集長。1973年15歳になった
主人公が出会う人物だが、彼も良い人。
記事を送ってくる主人公を
子供だからと馬鹿にせず書いた物で評価する。
その上で助言までしてくれ、取材記事も任せる。
彼の支持がなければ、主人公はそもそも
ペニーレインともスティルウォーターの面々とも
出会わないから重要人物。

ローリングストーンズ誌だって、
最初は15歳と知らず仕事を依頼して来たが
実際の彼と対面した時も書いた物で評価した。
(この辺りは紆余曲折あるから詳しくは本編で)

スティルウォーターの面々も憎めない。
記者である彼を敵と呼びつつ受け入れてくれる。
そして何よりペニーレイン。
映画の終盤に彼女がとった行動が素晴らしい。
(この辺りも是非映画で)

もちろん主人公が誰より誠実なんだけど、
その誠実さを誰も笑ったり馬鹿にしたりしない。
バンドエイドの女の子達も彼の事をちゃんと見ている。(からかったり童貞を奪ったりはするけど)

全てが優しく描かれているなというのが
改めての感想。
少年の真っ直ぐさ、それを損なわずに、
成長させてくれるものは何か。
honestであることの大事さを教えてくれた気がする