鑑賞記録:ウディ・アレン『ブルージャスミン』

映画は主人公ジャスミンが機内で老婦人に夫との出会いから性生活の事まで話し続けるところから始まる。
荷物を受け取った老婦人はそそくさと立ち去るのだが、それもそのはず、ただ隣に座っただけなのに尋ねてもいないことを次から次に語り続けられていたのだ。
これだけで、ジャスミンが少し問題を抱えた女性だということがわかる。
ジャスミンはニューヨークでセレブ生活を送っていたが、夫が逮捕され破産したため、ブルックリンに住む妹(血は繋がっていない)のもとに身を寄せる。
破産したというのに席はファーストクラス、ヴィトンの旅行鞄(イニシャル入りだから売れないとの弁)というジャスミンに妹ジンジャーは呆れつつも彼女の力になろうとする。
しかし、ジャスミンは大学で勉強することを望んだりと、生計を立てようという気が見受けられない。ジンジャーの恋人チリが歯科医の受付の職を斡旋しようとしても、自分に相応しい仕事ではないと断る。おまけに、インテリアコーディネーターのWeb講座を受講するために、先ずはコンピューターの勉強から始めるという始末。
ここまで見るとジャスミンは只の自分勝手な人間にうつる(実際その通りだ)が、彼女の問題は心にあることが徐々にみえてくる。
映画では現在のジャスミンと過去のジャスミンが交錯し、彼女が囚われる過去の生活とそれが破綻した経緯が明かされていくのだ。

ジャスミンは一貫して変わらない。破産したのにブランドものを身に着け、自分を助けてくれている妹にも上から目線。あまり感情移入できる主人公ではない。彼女が落ちぶれていくのも自業自得に思えるかもしれない。
だが、その救いようのないジャスミンに、人の悲しさ弱さが見えてきて最後まで目が離せない。彼女に救いはあるのだろうか。

ブルージャスミン [DVD]

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