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父母いませば遠く遊ばずとは言うものの

子曰、父母在、子不遠遊、遊必有方 (『論語』巻第二 里仁第四) 

 

両親が健在なうちには遠方に旅をしないようにして、

旅に出るとしても行き先を確かなものにしておくべきだ

とでも訳せばいいだろうか。

遊=遊学ととれば、親元を離れた大学に進学し、

そのまま地元に戻らなかった自分などは、

この教えに反した親不孝者ということになるだろう。

(まあ、居場所は確かにしているから「必有方」は果たしている)

しかし、人として成長する過程で親に何かしらの反発を抱き、

勧められた進路から外れるというのはよくある話で、

自分もそういう人間の一人だったまでだ。

後悔などしていないつもりだが、ふと冒頭の言葉を思い出したのは、

両親に対してというより、亡くなった祖父に対する後ろめたさだろう。

大学四年間の課程を終えさえすれば地元に戻ると信じていたのに、

その願いを裏切ってしまったのは他でもない自分だ。

直接何か言われたことはないが、失望させてしまったのは間違いない。

年に数日の帰省と、申し訳程度の手土産では贖えなかったと思う。

生きているうちにもっとできることがあったはずだと考えるのは、

大切な人を亡くしたものなら考えてしまうことだろう。

もう忌明けも近いというのにぐるぐると考えてしまう。

 

同じく里仁第四には次のような言葉もある。

 

子曰、父母之年、不可不知也、一則以喜、一則以懼

 

両親の年は知っておかなければならない、一つにはそれをもって喜び、

一つにはそれをもって心配するのだ。

とでも訳そうか。

生きているということを喜び、かつその老い先を案じる心持。

これもまた父母のことだけど、祖父母にも言えることだと思う。

 

論語 (岩波文庫 青202-1)

論語 (岩波文庫 青202-1)