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読書記録『ティンブクトゥ』

犬が主人公の面白い小説なんだよと友人に薦められて読んだ。

これを読み始めたときは、祖父が肺炎に侵されていることなど知る由もなかった。

主人公は肺を病んで先行き長くない主人に寄り添う犬という設定のため、

祖父を亡くした今は、好んで手に取ろうとは思わない本になってしまった。

祖父は放浪の詩人ではないし、自分も犬ではないとはいえ。

 

そんな自分の感傷は横において、とりあえず読書記録を。

先に書いたように、主人公は犬で名前はミスター・ボーンズという。

肺を病み死期も近い放浪の詩人ウィリーに寄り添うミスター・ボーンズ。

問題は主人であるウィリーが亡くなった後、彼がどう生き抜いていくかだ。

彼は「世界からウィリーを引き算してしまったら、おそらくは

世界自体が存在をやめてしまうのだ」という存在論的な恐れを抱いている。

ウィリーからさんざん聞かされた来世「ティンブクトゥ」の存在を信じていたが、

もしそこがペット禁止だったら?とふと考えては不安と恐怖に襲われもする。

ウィリーとの別れの時を迎えたミスター・ボーンズが向かう先は、

新たに探し求める主人のもとか、ティンブクトゥか―。

それは読んでもらうとして、

主人が死ねば世界も消えると思う老犬ミスター・ボーンのその後の姿は

犬を飼ったことがある人には特に感じるものがあるのではないだろうか。

ティンブクトゥ (新潮文庫)

ティンブクトゥ (新潮文庫)