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清がいるから坊っちゃん

漱石の『坊っちゃん』を読むと、ずるいなと思うのが清の存在だ。

正直、この作品の要は松山での教師生活の有様などではなく、

主人公と清の二人の関係にあるのではないかと思う。

両親から愛想を尽かされた主人公を、清が「まっすぐでよい御気性だ」

と肯定してくれるから「坊っちゃん」は「坊っちゃん」でいられる。

主人公も、松山で清と離れた生活を送る中で「あんな気立てのいい女は

日本じゅうさがしてあるいたってめったにはいない」とまで考える。

帰京した主人公が清のことを語る時、自分は不覚にも涙ぐんでしまう。

それで、松山でのエピソードをすべて忘れてしまった上で、

なんだか『坊っちゃん』という作品全体が良い作品だったと思えてしまうから、

ずるい。

 

坊っちゃん (新潮文庫)

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