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70年目の8月6日

この日になると暑い体育館で黙祷をささげていたのを思い出す。

大人になっても8時15分という時刻が頭から離れない。

「平和学習」と呼ばれたその時間は、毎年の繰り返しで

着実に心の中に何かを積み上げていった。

興奮というのは感染するものだ。

今日この日に至って自分の中にある種の興奮が沸き起こるのを感じる。

もう体育館に集まることもないが、この日になると読み返したくなる本がある。

原民喜の『夏の花』

淡々と書き記された世界が、あの日聞いた語りに重なって聞こえてくる。

語り部が高齢化して記録の伝承が危ぶまれている今、

記録を残すことに力が入れられるべきではないだろうか。

 

 

小説集 夏の花 (岩波文庫)

小説集 夏の花 (岩波文庫)