河合隼雄自伝読了

 

河合隼雄自伝: 未来への記憶 (新潮文庫)

河合隼雄自伝: 未来への記憶 (新潮文庫)

 

 一時期読書から離れていたので、岩波新書から『未来への記憶―自伝の試み』(上下巻)として出版されていたことは知らなかった。

そこに、「未来への記憶の続き」(2014年・河出書房新社刊『私が語り伝えたかったこと』所収)を加えて生まれたのが本書だ。

河合隼雄の少年時代の記憶からユング研究所留学時代の事までが思いつくままに語られている。

河合隼雄の本は読んだことはあったが自伝的な書籍は今回が初めてだったので、大変興味深く引き込まれるようにして読み進めていった。

筆者がユング派心理学を学ぶに至るまでに経緯は、数多くの偶然に満ち満ちていて(おそらく見方によっては必然と呼べるものなのだろうが)読了して改めて、その偶然の力に驚かされる。

不思議なのはこの自伝を読んでいると何か自分の心が癒されていくよう気がするところだ。通常の自伝なら一読すれば十分だが、何故かまた読み返したくなる魅力がここにはある。

1人の人間が生きて何事かを為すまでには、多くの事物との出会い、思わぬ偶然といったものが作用しているのだと改めて感じさせられた。

河合隼雄に興味のある方ならばわかっていただけよう。